キャッシュレス化動向とECサイトの対応方法について解説します
2019年10月1日(火)の消費税率引き上げに伴い実施されていた「キャッシュレス・ポイント還元事業」も、2020年6月30日(火)をもって終了の運びとなります。
コロナ渦の影響で需要が高まるECサイトと相まった、これからのキャッシュレス対応に悩まれている方も多いのではないでしょうか。
今回は、日本国内におけるキャッシュレス化動向や、ECサイトのオンライン決済手段について理解を深め、それらを踏まえた上でECサイト運営者が取るべき対応方法について解説します。
目次
日本国内におけるキャッシュレス化の現状と将来展望
まだまだ根強い現金信仰のイメージが残る日本国内ですが、現状での推移はどう動いているのでしょうか。まずは、経済産業省が2020年1月に発表した最新のレポートを基に、現状と今後の動向について触れていきます。
参考:キャッシュレスの現状及び意義(経済産業省)
他国と比べて遅れている
2016年のデータでは、日本のキャッシュレス比率は約20%となっており、主要各国の約1/2、世界有数のキャッシュレス大国である韓国と比べると約1/5という結果に。
また、次点国であるインドと比較しても10%以上の差が開いている現状です。残念ながら、世界水準を大きく下回る、イメージ通りの結果であることがわかります。
今後はキャッシュレス比率の増加率に注目
一方、ミクロな視点で日本国内にフォーカスして見てみると、キャッシュレス支払額とその比率は10年間で約2倍の数値まで増加。ゆるやかな右肩上がりの傾向が続いています。
日本政府は、世界水準、そして世界最高水準のキャッシュレス決済比率を目指すとの方針を示しているため、今後はその増加率に注目しておきたいところです。
ECサイトのオンライン決済方法
これまでECサイトの決済方法としては、銀行振込や代金引換、コンビニ支払いなどのオフラインが主流でした。
昨今においては、以前から支持があったクレジットカード払いをはじめとして、さまざまなオンライン決済方法が登場しており、決済方法の多様化が進んでいます。
参考:平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)(経済産業省)
クレジットカード/デビットカード払い
オンライン決済の王道、クレジットカード払い。与信審査がないデビットカードでの決済も含めて、ユーザーからは高いニーズがありますので、可能な限り導入しておきたい決済方法です。
インターネットバンキング・モバイルバンキング
インターネットを介して口座残高の確認や送金を手軽に行えることから、人気が高まっている銀行系オンライン決済。
ネットリサーチ会社であるマイボイスコム株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:高井和久)が発表した「【インターネットバンキングの利用】に関するアンケート調査(第20回)」によると、現在のインターネットバンキング利用者は、全体の6割強にも上るとのこと。
従来の銀行振込と比べて利便性が高く、利用者数も増加傾向にあるため、今後も引き続き目が離せない決済方法のひとつです。
キャリア決済
キャリア決済は、日本国内の主要キャリアと契約を結ぶユーザーが利用できる決済方法です。IDとパスワードを入力することで決済が完了して、毎月の携帯電話使用料と合算請求されるシンプルな仕組みとなっています。
ネットショッピングとスマホは特に親和性が高く、スマホによる消費金額については若年層の方が高い傾向です。ネットショッピングのメイン層である20~40代のニーズに応えるためにも、ぜひ検討すべき決済方法であると言えるでしょう。
第三者決済サービス
昨今、人気を博しているオンライン決済サービス「PayPal(ペイパル)」をはじめとして、「楽天ペイ」や「LINE Pay」、「Amazon Pay」など、独自決済システムの提供をスタートする企業が増えてきました。
前述の通り、日本国内のキャッシュレス化推進の動きは拡大していくと想定されますので、こうした第三者決済サービスの市場もより活発化するかもしれません。
ただ、現状では種類も多様で選定がむずかしくなっていますので、導入の検討は慎重に行いましょう。
ECサイトがキャッシュレス決済を導入する際は、カートシステムの対応可否に注意
オンラインで商品を販売するための仕組みである「カートシステム」は、ECサイトに欠かせないシステムですが、同時にECサイトのキャッシュレス対応とも深い関係があります。
というのも、種類によってはキャッシュレスに対応していないカートシステムがあるからです。今後、販売の機会損失を防ぐためにも、導入したい決済方法とカートシステムの選定は同時に行いましょう。